士林の男の子

台北滞在、一日目と二日目は士林という夜市で有名な街の宿に泊まった。

その宿は駅から至近距離でもあり、どうやら学校も近いらしい。
学生らしい男の子をよく見かけた。


髪が多め・硬め
特に前髪にボリュームがある
ちょっと斜めに流れている
で、眼鏡

そんな男の子。士林の男の子に多くいた印象。

だけど、これも断言していいことか。会わなかっただけかもしれない。
そもそも、なぜか髪が薄い人を見かけなかった。
これも私がたまたま合わなかっただけかも。

さらにそもそもを言えば、あまり年をとった人自体にも会う機会が少なかったのだ。
士林に限らずとも台北にいる間。
そういうものなのだろうか。

若き街、台北の、士林の男の子。



Aさんが遠い散歩に出かけた日

それは2月に入って特に冷えた朝。
大家さんのご主人が病院でお亡くなりになったと連絡が入った。
享年89歳とのこと。

思えばこの家を下見に来たときに、大家さんより先に出会っていたご主人。
よそから来た私を迎えてくれたあの笑顔がなかったら、
この家とのご縁も始まらなかったかもしれない。
ご挨拶だけさせていただこうと、お通夜に参加した。

お通夜の席では、会場で用意された食事に加え、
大家さんがお手製のビーフンをふるまってくださった。
ご主人の好物、やっぱり最期も台湾。

ハンチング帽とショートパンツ、杖を片手に散歩にでかけていたご主人。
 いつもおしゃれでしたね
 こだわりがあったのよね
 毎日お出かけしてお元気だったわよね
 ほんとにね
近所の方とそんな話をしながら食べたビーフンは、特別な味に感じた。

病院では一ヶ月以上眠ったままだったご主人。
私と一ヶ月違いで、今頃はきっと台湾あたりだろう。
懐かしき総督府あたりを散歩しながら。




鳳梨酥からよもやま話の続きです。

鳳梨酥からよもやま話

大家さんに台湾土産としては大変王道な鳳梨酥、いわゆるパイナップルケーキを持っていった時のこと。

「まぁー、よかったわねえ」という第一声に続いて始まったのは、大家さんのご主人の話。
ご主人は実は台湾生まれの台湾育ち、ご両親が当時台湾総督府にお勤めだったというのだ。
戦前の台湾のこと、大家さんがお姑さんから数々の台湾料理を習ったこと、それもあって大家さんの得意料理はビーフンであること。
お家賃を渡しがてらのお土産、玄関先でずいぶんと話に花が咲いた。
「主人が見たら、きっと喜ぶと思うのだけどねぇ」

昨年末に突然脳梗塞で倒れてしまった大家さんのご主人は、それからずっと目を覚ますことはないという。
なんだかんだと6年以上お世話になっている間柄、私もやはりドライな心持ちではいられない。
そしてこんなことになってしまう前に、パイナップルケーキから花咲くご主人の話も伺いたかった。
心から思う。



台湾の朝の雨

台北にいる間、朝はだいたい雨だった。

朝食後、日記にはだいたい「今日も雨」とメモをする毎日。
一日目と二日目は士林の同じホテルに泊まったので、見える景色はこんなふうだった。
華やかな夜市が明けると、街は二日酔いのようなだるさを感じる。

ホテルの中のモダンな空気と対照的な、生活感のあるビル。
窓辺の数だけその住人の息づかいを感じるのは、置いている植物のせいだと思う。



Taipei, January, 2012

初めて羽田空港の国際便を使って旅立った台湾。
明るいうちの出発は日本の形や街がよくみえ、
幸先良いスタート。

台湾は天気が悪いというので、今のうちに空の美しさも楽しんでおこう。
澄んだブルーに、エバー航空のカラーのグリーンとオレンジがよく映える。



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