木蓮と、まさをさん

木蓮をみると、母方のおばあちゃんを思い出す。

おばあちゃんが木蓮の花の事を教えてくれた。
その景色、そのシチュエーション、その甘い香りと共にふわっと引き出されて広がる、記憶の不思議。

私が物心つかない頃には、おじいちゃんは亡くなっていた。
おばあちゃんはおじいちゃんが亡くなった後に生前すっていたタバコをはじめたそうだ。
おじいちゃんの香りを懐かしむため。
いつもセブンスターをくゆらせて、どこかいつもさみしさの味がする笑顔だったおばあちゃん。

「まさを」という名前。タバコを吸う姿。
子供心には「女の人なのに」とどこか不思議な気持ちになっていたこと。

入れ歯をはずした顔を見て、「魔女だ」と言って泣いてしまったこと。

しばらくして病院に入り、ほとんどの記憶をなくして私の事も覚えてなくても「ありがとう」といつも笑っていたこと。

病院でもまわりのおばあちゃんにくらべてとびきり美人で目立っていたこと。


いろんな想いが、ほんの少し木蓮を見ただけで広がる広がる。

美人の魔女、まさをさんがセブンスターを吸って笑ってる。
木蓮の花咲く頃。



| 1/1PAGES |