鳳梨酥からよもやま話

大家さんに台湾土産としては大変王道な鳳梨酥、いわゆるパイナップルケーキを持っていった時のこと。

「まぁー、よかったわねえ」という第一声に続いて始まったのは、大家さんのご主人の話。
ご主人は実は台湾生まれの台湾育ち、ご両親が当時台湾総督府にお勤めだったというのだ。
戦前の台湾のこと、大家さんがお姑さんから数々の台湾料理を習ったこと、それもあって大家さんの得意料理はビーフンであること。
お家賃を渡しがてらのお土産、玄関先でずいぶんと話に花が咲いた。
「主人が見たら、きっと喜ぶと思うのだけどねぇ」

昨年末に突然脳梗塞で倒れてしまった大家さんのご主人は、それからずっと目を覚ますことはないという。
なんだかんだと6年以上お世話になっている間柄、私もやはりドライな心持ちではいられない。
そしてこんなことになってしまう前に、パイナップルケーキから花咲くご主人の話も伺いたかった。
心から思う。